• 新年のご案内

    今年も一年間ありがとうございました。

    来年の梅若会は特別な一年となります。

    都度ご案内致しますが、まずは上半期の定例公演のお知らせです。

    松山は6月公演にて親子競演の予定です。

    ちょっと早いご案内となりますが、ご予定の程よろしくお願い申し上げます。

    正面指定席(7,000円)   枚
    自 由 席(6,000円)   枚

    ※定式能・梅流会は松山へのお申し込みにより、事務局購入より1,000円引きでのご提供となります。
    (上記は適用後の代金です。)

     


  • 能「氷室」について

     

    ・氷室
    この作品は脇能(同類に高砂など)です。
    爽快な趣きをお楽しみください。

    帝による日本の平安を喜ぶ作品です。
    舞台奥に据え置かれる台と作り物は氷室山を象徴するものです。

    ~ワキ一行は旅路途中に丹波氷室山に着き、氷室の謂を聞くことになります。
    ワキ「八洲も同じ大君の。八洲もおなじ大君も。御影の春ぞのどけき
    ~本来は晩春の作品で、山に雪が残る様子が謡われます。
    シテ・ツレ「氷室守。春も末なる山陰や。花の雪をも。集むらん
    ~帝への御調(貢物)を現します。
    シテ・ツレ「げに豊年を。見する御代の。御調の道も直なるべし
    ~氷室(氷の物の供御)の起こりが語られます。
    ワキ「春夏まで氷の消えざる謂くはしく申候へ
    シテ「昔御狩の荒野に。一村の森の下庵ありしに。頃は水無月半なるに。寒風御衣の袂に移りて。さながら冬野の御幸の如し。怪み給ひ御覧ずれば。一人の老翁雪氷を屋の内に湛へたり。彼の翁申すやう。それ仙家には紫雪紅雪とて薬の雪あり。翁もかくの如しとて。氷を供御に供へしより。氷の物の供御始まりて候
    ~各地の氷室を紹介します。
    ワキ「いはれを聞けば面白や。さてゝゝ氷室の在所々々。上代よりも国々に。数多替りてありしよのう
    シテ「まづは仁徳天皇の御宇に。大和の国闘鶏の氷室より。供へ初めにし氷の物なり
    ツレ「また其後は山陰の。雪も霰も冴えつづく。便の風を松が崎
    シテ「北山陰も氷室なりしを
    ツレ「又此の国に所を遷して。深谷も冴えけく谷風寒気も
    シテ「たよりありとて今までも
    同「末代長久の氷の供御のため。丹波の国桑田の郡に。氷室を定め申すなり
    ~帝の威光は普く国土に行き渡ります。
    ワキ「げにゝゝ翁の申す如く。山も所も木深き蔭の。日影もさゝぬ深谷なれば。春夏までも雪氷の。消えぬもまたは理なり
    シテ「いや所によりて氷の消えぬと承るは。君の威光も無きに似たり
    ワキ「ただ世の常の雪氷は
    シテ「一夜の間にも年越ゆれば
    ワキ「春立つ風には消ゆるものを
    シテ「されば歌にも
    ワキ「貫之が
    地「袖ひぢて。掬びし水のこほれるを。むすびし水の凍れるを。春立つ今日の。風やとくらんと詠みたれば。
    夜の間に来る春にだに氷は消ゆる習なり。況してや。春過ぎ夏闌けて。はや水無月になるまでも。消えぬ雪の薄氷。
    供御の力にあらではいかでか残る雪ならんいかでかのこる雪ならん
    ~和国も唐土も同じ様子であり、それを陽の光にも例えます。
    地「それ天地人の三才にも。君を以つて主とし。山海萬物の出生。即ち王地の恩徳なり
    シテ「皇図長く固く。帝道遥に昌なり
    地「佛日輝増々にして。法輪常に轉ぜり
    シテ「陽徳折を。違へずして
    地「雨露霜雪の。時を得たり
    「夏の日に。なるまで消えぬ冬氷。春立つ風や。よぎて吹くらん。げに妙なれや。萬物時に逢ひながら。君の恵の色添へて。都の外の北山に。継ぐや葉山の枝茂み。此面彼面の下水に。集むる雪の氷室山。土も木も大君の。御影にいかで洩るべき。げに我ながら身の業の。浮世の数にありながら。御調にも取分きて。なほ天照らす氷の物や。他にも異なる捧げ物。叡感以つて甚だしき。玉體を拝するも。深雪を運ぶ故とかや
    ~御調(貢物)を生業にする喜びから、その仕事の様を表現します。
    この所作は「エブリ」にて雪を搔き集める様子です。
    シテ「然れば年立つ初春の
    地「初子の今日の玉箒。手に取るからに揺らぐ玉の。翁さびたる山陰の。去年のまゝにて降りつづく。雪の志づりを?きあつめて。木の下水にかき入れて。氷を重ね雪を積みて。待ちをれば春過ぎてはや夏山になりぬれば。いとゞ氷室の構して。立去ることも夏陰の。水にもすめる氷室守。夏衣なれども袖冴ゆる気色なりけり
    ~夜半の神事を見るように薦めて、氷室守は姿を消します。
    地「げに妙なりや氷のものゝ。げに妙なりや氷の物の。御調の道も直にある都にいざや帰らん
    シテ「暫らく待たせ給ふべし。とても山路のお序に。今宵の氷調。供ふる祭御覧ぜよ
    地「そもや氷調の祭とは。いかなる事にあるやらん
    シテ「人こそ知らね此の山の。山神木神の。氷室を守護し奉り。毎夜に神事あるなりと
    地「云ひもあへねば山昏れて。寒風松梢に声立て時ならぬ雪は降落ち。山河草木おしなめて。氷を敷きて瑠璃壇に。なると思へば氷室守の。薄氷を踏むと見えて室の内に入りにけり氷室のうちに入りにけり
    ~(中入)狂言が登場し神事の仕度を進めます。
    ~やがて天女が現れ舞台を非現実空間へと彩ります。
    地「楽にひかれて古鳥蘇の。舞の袖こそ。ゆるぐなれ
    後ツレ「変らぬや。氷室の山の。深みどり
    地「雪を廻らす舞の袖かな
    ~氷室の神が来現し御代の平安を讃えます。
    後シテ「曇なき。御代の光も天照らす。氷室の御調。供ふなり
    地「そなへよや。供へよや。さも潔き。水底の砂
    シテ「長じては又。巌の陰より
    地「山河も震動し天地も動きて。寒風頻りに。肝を縮めて。紅蓮大紅蓮の。氷を戴く氷室の神體冴え耀きてぞ現れたる
    ~神が勇壮に躍動的に雪山を駆け巡り、氷を守る様子、氷を都に届ける様子が象徴的に表現されます。
    シテ「かしこき君の。御調なれや
    地「畏き君の御調なれや。波を治むるも氷。水を鎮むるも氷の日に沿へ月に行き。
    年を待ちたる氷の物の供。供へたまへや。供へ給へと采女の舞の。雪を廻らす小忌衣の。袂に添へて。薄氷を。碎くなゝゝゝ。融かすなゝゝゝゝと氷室の神は。氷を守護し。日影を隔て。寒水を注ぎ。清風を吹かして。花の都へ雪を分け。雲を凌ぎて北山の。すはや都も見えたりゝゝゝゝいそげや急げ。氷の物を。供ふる所も愛宕の郡。捧ぐる供御も。日の本の君に。御調物こそ。めでたけれ。

    脇能には「舞物」と「働物」があり「氷室」は後者で、音楽よりも言葉の羅列から構成されています。
    前場と後場に共通する「氷を守る」ことは、神と人が同一の意思を持っていて帝の威厳を護る事であると伝えているように感じます。
    平安を願うことは万民の望みであり、その頂点を一曲の中に輝き保っている。
    太陽の光でもあり月の輝きでもあり、眼の奥に拡がる「輝きのパノラマ」。


  • 2017/12/17「梅若会定式能 納会」

    ◇平成29年12月17日(日) 13時開演 17時頃 終了予定

    「梅若会定式能 納会」  於・梅若能楽学院会館(東京都中野区東中野)
    能「氷室」、能「巻絹」(他 狂言、仕舞数番)

    松山の今年の定式シテ番、納会が目前に迫って参りました。

    今回ご紹介の演目は、能「氷室」シテ 松山隆之

    ◇どんな曲?
    「氷室神事」を今に伝える演目で、翁がエブリを持ち氷を室に集める姿や明神が氷を守護する姿が勇壮に表現される具現的かつ象徴的な能です。
    冬のうちに氷を室に保管して夏に天皇に献上してきた謂われも語られ泰平の御代を寿ぐ一曲でもあります。

    元来、晩春の作品で、能「氷室」を通して寒気との別れを喜び、心も和らぐなか、夏への心掛けを努めてきたのでしょう。松山も冷暖房の無かった時代の人々が自然と共存してきた様子に懐かしさを感じる年齢になりました。

    明神が守護する「薄氷」。近年では初夏の和菓子にこれらを見立てた品々が店先に並び涼の先取りに氷が対象にされるようです。この度は冬の最中での上演ですので、少し早めに春を感じられるように取り組みたいと思っています。

    また、巻絹は歌道の誉れを伝える人気曲です。
    音曲としても親しまれてきた作品です。

    万障お繰り合わせの上、ご来場お待ち申し上げております。

    正面指定席(7,000円)
    自 由 席(6,000円)

    ※定式は松山へのお申し込みにより、事務局購入より1,000円引きでのご提供となります。
    (上記は適用後の代金です。)


  • 2017/11/23「梅若会別会能 偲ぶ会」

    ◇「梅若会別会能 偲ぶ会」 於・梅若能楽学院会館(東京都中野区東中野)

    平成29年11月23日(木・祝) 10:30開演 15:30頃終了予定
    舞囃子「当麻」 梅若玄祥 師
    能「大原御幸」 梅若長左衛門(ツレ 松山隆之)
    能「恋重荷」  梅若紀彰
    (他 狂言、仕舞数番)

    この秋の別会能は御先代ご兄弟を偲ぶ追善公演です。

    「当麻」は、奈良県当麻寺に伝わる「中将姫説話」をもとにした世阿弥の作品。
    ・今回は舞囃子で、曼荼羅を舞台上に描いたかのようなクライマックス部分をダイジェストでご覧頂きます。
    「大原御幸」は、平家物語の最終巻「灌頂巻」を典拠とします。
    ・壇ノ浦の戦いの後、残された建礼門院の隠棲地・寂光院に後白河法皇が訪れ、これまでの様子が静かに物語られます。
    それらは極楽往生を願う人々の想いへと表現されてます。
    「恋重荷」は、身分による叶わぬ恋を主題とする世阿弥の代表作の一つです。
    ・卑賎の老人が女御に恋をするという、現代では想像難い程の格差を骨格に恋心の苦しみを表現します。
    恋死ぬ老人がやがては女御の「葉守の神(守護霊)」となることを告げ終曲します。
    浅くはストーカー、深くは純愛の一曲です。

    何れも特別公演らしい大曲構成、是非お見逃しなく。

    正 面 席(10,000円)
    正面横席(9,000円)
    自 由 席(8,000円)


  • 2017/9/10 梅若会特別公演

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    特別公演のお知らせ

    初秋に控える公演をご案内申し上げます。
    平成29年9月10日(日) 11時開演 14時頃終了予定

    「梅若会特別公演」 於・梅若能楽学院会館(東京都中野区東中野)

    玄祥師の能一番が立てられた特別公演です。世阿弥の代表作「西行櫻」が予定され、楽しみな一日です。是非お寄せください。

    おおよそのタイムテーブルは

    11:00  仕舞 数番
    11:15頃 狂言「枕物狂」 シテ 山本東次郎(人間国宝)
    休憩
    12:00頃 仕舞 数番( 「女郎花」松山隆之 )
    12:30頃  能 「西行櫻」 シテ 梅若玄祥(人間国宝)
    13:45 頃  ~ 終演 ~

    中途入退場が可能です。

    ご多忙の事とは存じますが、皆様のお返事を心よりお待ち申し上げます。

    ~お問い合わせ~
    ★ 平成29年 梅若会特別公演
    <チケットについて>
    1.お申し込み開始日:8月1日(火)午前10時より
    2.お申し込み方法
    ・お電話:(公財)梅若会事務局 03-3363-7748
    ・FAX:(公財)梅若会事務局 03-3363-7749
    ・メール:umewakanohtheatre@excite.co.jp
    ファクス、メールでのお申し込みの際は、お名前、ご住所、ご連絡先お電話番号、ご希望座席、枚数をお書きの上、お申し込み下さい。

    *お申し込みは先着順のため、ご希望に添えない場合もございます。またお申し込み開始日より前の受付は致しませんのでご了承下さい。


  • 2017/07/28 国立能楽堂 企画公演「名取ノ老女」

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    平成29年7月28日(金)18:30開演
    国立能楽堂 企画公演「名取ノ老女」

    昨春に復曲された「名取ノ老女」の再演が迫っています。
    http://www.ntj.jac.go.jp/schedule/nou/2017/7209.html

    今年の娘は「能に始まり能に終わる夏休み」です。

    是非、夕涼みにいらしてください。


  • 2017/06/16 さがみはら能「鶴亀」

    画像(C)山口宏子-768x543

    先日、第二十回「さがみはら能」が催されました。

    能の演目は隆雄と絢美・結美による「鶴亀」でした。

    絢美は舞台の経験も多く不安はなかったのですが、結美はピカピカの一年生。
    装束を付けての三段之舞。
    1,000人を超すお客様の前でどこまで平常心を保てるか心配でしたが乗り切りました。

    今後がとても楽しみです。