図書館での能楽講演(無料)を予定しています。
実技から素朴な質疑応答まで。
ご興味の方、会場でお会いしましょう♪
https://www.library.city.edogawa.tokyo.jp/toshow/event/event_2031.php
能楽シテ方観世流 松山隆之
様々な知識カテゴリー
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◇平成29年12月17日(日) 13時開演 17時頃 終了予定
「梅若会定式能 納会」 於・梅若能楽学院会館(東京都中野区東中野)
能「氷室」、能「巻絹」(他 狂言、仕舞数番)
松山の今年の定式シテ番、納会が目前に迫って参りました。
今回ご紹介の演目は、能「氷室」シテ 松山隆之
◇どんな曲?
「氷室神事」を今に伝える演目で、翁がエブリを持ち氷を室に集める姿や明神が氷を守護する姿が勇壮に表現される具現的かつ象徴的な能です。
冬のうちに氷を室に保管して夏に天皇に献上してきた謂われも語られ泰平の御代を寿ぐ一曲でもあります。
元来、晩春の作品で、能「氷室」を通して寒気との別れを喜び、心も和らぐなか、夏への心掛けを努めてきたのでしょう。松山も冷暖房の無かった時代の人々が自然と共存してきた様子に懐かしさを感じる年齢になりました。
明神が守護する「薄氷」。近年では初夏の和菓子にこれらを見立てた品々が店先に並び涼の先取りに氷が対象にされるようです。この度は冬の最中での上演ですので、少し早めに春を感じられるように取り組みたいと思っています。
また、巻絹は歌道の誉れを伝える人気曲です。
音曲としても親しまれてきた作品です。
万障お繰り合わせの上、ご来場お待ち申し上げております。
正面指定席(7,000円)
自 由 席(6,000円)
※定式は松山へのお申し込みにより、事務局購入より1,000円引きでのご提供となります。
(上記は適用後の代金です。)
◇「梅若会別会能 偲ぶ会」 於・梅若能楽学院会館(東京都中野区東中野)
平成29年11月23日(木・祝) 10:30開演 15:30頃終了予定
舞囃子「当麻」 梅若玄祥 師
能「大原御幸」 梅若長左衛門(ツレ 松山隆之)
能「恋重荷」 梅若紀彰
(他 狂言、仕舞数番)
この秋の別会能は御先代ご兄弟を偲ぶ追善公演です。
「当麻」は、奈良県当麻寺に伝わる「中将姫説話」をもとにした世阿弥の作品。
・今回は舞囃子で、曼荼羅を舞台上に描いたかのようなクライマックス部分をダイジェストでご覧頂きます。
「大原御幸」は、平家物語の最終巻「灌頂巻」を典拠とします。
・壇ノ浦の戦いの後、残された建礼門院の隠棲地・寂光院に後白河法皇が訪れ、これまでの様子が静かに物語られます。
それらは極楽往生を願う人々の想いへと表現されてます。
「恋重荷」は、身分による叶わぬ恋を主題とする世阿弥の代表作の一つです。
・卑賎の老人が女御に恋をするという、現代では想像難い程の格差を骨格に恋心の苦しみを表現します。
恋死ぬ老人がやがては女御の「葉守の神(守護霊)」となることを告げ終曲します。
浅くはストーカー、深くは純愛の一曲です。
何れも特別公演らしい大曲構成、是非お見逃しなく。
正 面 席(10,000円)
正面横席(9,000円)
自 由 席(8,000円)
先日、第二十回「さがみはら能」が催されました。
能の演目は隆雄と絢美・結美による「鶴亀」でした。
絢美は舞台の経験も多く不安はなかったのですが、結美はピカピカの一年生。
装束を付けての三段之舞。
1,000人を超すお客様の前でどこまで平常心を保てるか心配でしたが乗り切りました。
今後がとても楽しみです。
平成29年2月4日(土) 14:00開演 16:30頃 終了予定
能の五番 朝薫の五番「生贄」「孝行の巻 (組踊)」 於・横浜能楽堂
http://ynt.yafjp.org/schedule/?p=1963
今回の催しは横浜能楽堂による[能楽と組踊の共演](共にユネスコ無形文化遺産)を楽しむ特別企画です。
能[生贄]は昭和62年に復曲された演目で私も小学6年生で子方を務めた復曲能です。
今回は私が母(ツレ)を、絢美が姫(子方)を務めます。
復曲能が世代を越えて役替え上演される事は稀で、注目の機会となります。
また、沖縄の伝統芸能の精髄であると言われる組踊は、1719年琉球王朝時代での上演記録が残り、
宮廷芸能の中核として沖縄独自の歴史と文化風土に培われ磨かれ継承されてきました。
これまでに、明治の廃藩置県、悲惨な沖縄戦後の米軍統治の時代により沖縄は伝統文化や伝統芸能にとって多難な時代を送りつつも、
現在は国の重要無形文化財(総合指定)に認定、さらには能楽・人形浄瑠璃文楽・歌舞伎・雅楽等と共に「ユネスコ無形文化遺産」の認定を受けています。
残席僅かとなります。
直接、横浜能楽堂へ、もしくは私までご連絡ください。
「第二十九回相模原薪能」では能・狂言の他に「独吟」が上演されます。
能楽を共に歩む「狂言」と「能」の違いを考えると、能には必ず囃子が入る。
ここが能と狂言と大きく区別される部分だと思います。
能は「囃子・謡・所作」を統合した形を上演する事に重きを置いています。
その長~い歴史の中で、演目の一場面だけを抽出して舞台で再現するという「好いとこ取り」もアリだよね、となったのが現代に続く、「能以外のもの達」です。
能であって一番ではない、「独吟」「仕舞」「一調」「居囃子」「舞囃子」などなど。
大別すると、装束の有無となりますが、独吟ともなると「ただ独り」で舞台の一場面を謡い表現します。
そこには狂言の話芸に現れる囃子を見せずに拍動(リズム)を表すのと同様に、
能の謡にも囃子抜きで表現出来る躍動感への挑戦が存在します。
現代風に言うと「アカペラ」とか「子守歌」とかが同種なんじゃないかなぁと勝手に思うのですが。
今回ご紹介する梅若玄祥師(芸術院会員・人間国宝)の舞台「独吟 勧進帳」。
能「安宅」から、安宅関で関守・富樫との対決に弁慶が即席の勧進帳を読み上げるという一場面。
能では巻物をひらき、富樫の疑心を受けながら弁慶が豪壮に読み上げるくだりです。
独吟では、舞台に居ついて(正座して)ただ独り、謡います。
勧進帳は「三読物」と特別に扱われている謡でもあり、その詞章の躍動感(序破急)は格別です。
能「小鍛冶」の登場人物をご紹介します。
ワキツレ 橘道成
ワキ 三条宗近
シテ 稲荷明神 (前場)化身・(後場)本体
間狂言 宗近ノ下人
作者不詳のこの作品ですが物語の解り易さからも人気曲の一つに数えられています。
そこで、魅力の一つとしてワキを紹介してみたいと思います。
まず、曲名が主人公(シテ)ではなく助演(ワキ)にまつわる「小鍛冶」であること。
小鍛冶とは刀工を指す言葉で、この曲が刀に一貫した演目であり、宗近を中心に作風立てられていることを表しています。
過去に「稲荷」という別の作品があったので区別する為だったことも考えられます。
小鍛冶のあらすじは、
一条院からの勅使・橘道成公は、時の名工・三条住まいの宗近さんに一刀献上するように宣下します。
命を賜った宗近さんには望むべき相槌の者がいなかったので、氏神さまの「稲荷明神」に祈願します。
すると遠くから宗近に言葉をかける少年が現れ、刀にまつわる故事を語った後に鍛刀支度を命じ消えてしまいます。
やがて支度の整った宗近が心中に祈念しつつ鍛冶に臨もうとすると、勇壮かつ快活に明神が来現します。
そして共に仕上げた刀「小狐丸」を勅使に献上した明神は東山へと帰って行きます。
ちなみに能「稲荷」は、
紅葉狩をしていた和泉式部に恋慕した亡霊をシテとする能で、現行の通小町や玉鬘を混ぜ合わせた執心物だったようです。
詞章には都人の絢爛さや都の景色がを大きく取り上げられています。
こちらも作者不詳ですが古今著聞集から典拠した作品で、稲荷違い。
さてさて戻って、宗近さん。
宗近は「日本刀の変革のはざま」を生きた人です。
日本刀が直刀から反りのある湾刀に変化した時期の代表的名工として名を遺す人で、現代でも奈良県にお店が続いています。
宗近は一条天皇の治世(10世紀末頃)の刀工で史実に残る人物で、名刀の記録集、観智院本銘尽「一条院御宇」の項に、
「宗近 三条のこかちといふ、後とはのゐんの御つるきうきまるといふ太刀を作、少納言しんせいのこきつねおなし作也
(三条の小鍛冶と言う。後鳥羽院の御剣うきまると云う太刀を作り、少納言信西の小狐同じ作なり)」と残っているようです。
一条天皇の宝刀「小狐丸」が能「小鍛冶」のエピソードとなるわけですが、明神と作り上げたとされる能のあらすじも、伝説としての意味を醸し出しているのでしょう。
後の世の三条宗近銘の代表作には「天下五剣」の一つ、徳川将軍家伝来の国宝「三日月宗近」が現存しています。
これだけ魅力の宗近さんですが、能「小鍛冶」では助演です。
そこに「稲荷信仰」の尊さが表現されているのかなぁ?
2016年6月19日(日)13:00開演
梅若会定式能
能「嵐山」、能「杜若」、能「藤戸」、狂言「雷」(他 仕舞三番)
おおよそのタイムテーブルは
13:00 「嵐山」
14:30過ぎ「杜若 恋之舞」 シテ 松山隆之 地頭 梅若玄祥師
16:30頃 「藤戸」
中途入退場出来ます。
梅若玄祥師の地謡は絶品です!
かの尾形光琳は能楽に精通していた人物で、「杜若」を多くの作品の題材に使用しています。
なかでも「燕子花図屏風」は、国宝の指定を受けていますが、
そのパノラマ感は能楽を意識して書き上げたものと、私は以前から感じています。
曲の概要は、
草木、杜若の精霊が伊勢物語(在原業平)によって成仏出来た喜びを主題に、
華やかに彩られた一曲です。
この曲、穏やかな動きの中に、色濃い杜若が表現されます。
草木や、石など、心を持たないとされるものは「非情」と種別され、
「非情は成仏出来ない」という考えがあります。
しかし、反して皆、悉く成仏出来るという教えもある。
古く業平は、仮の姿として現世に現れていた歌舞の菩薩であり、
業平の詠んだ歌は菩薩の御言葉だから。
故に、「かきつばた」は草木国土悉皆成仏、召されて行きます。
その和歌は、
折句「かきつばた」
か らころも
き つつなれにし
つ ましあれば
は るばるきぬる
た びをしぞおもう
そして、世阿弥の娘婿にあたる禅竹の作品、
細やかにセオリーを守っている作品だと思います。
義父の「幽玄」を守った一番。
ご興味の方、松山までお気軽にお申込みください。
鑑賞券(前売り価格)
正面指定席 7千円
自由席 6千円
※ 松山へのお申込み時の割引料金です。
※「定式能」「梅流会」は、松山の所属する梅若会の自主公演です。
松山へご用命頂きますと、1,000円割引にてご案内させて頂きます♪
追記 2016/06/03 公演記録に杜若の詞章を載せました。