• カテゴリー別アーカイブ 鑑賞の手引き
  • 識る » 鑑賞の手引き
  • 2014/11/16 梅若会別会能

    20141116別会00120141116別会002
    来る11月16日(日)、梅若会別会能のご案内です。

    別会能とは月ごとの定例と区別し「より華やかな演能会」をさします。
    是非とも最後までお目通し頂きたく存じます。

    [[ 梅若会別会能 ]]
    本年11月16日(日) 午前11時開演 午後4時半頃終演

    能「張 良」 シテ 梅若玄祥  ツレ 梅若紀彰  ワキ 御厨誠吾
    能「三 輪」 シテ 山崎正道  ワキ 宝生閑
    能「安達原」 シテ 松山隆之  ワキ 福王和幸
    狂言「鎌腹」 シテ 山本則俊 他

    ~当日の能のご紹介

    「張良」
    本年、人間国宝の認定を受けられた「玄祥師」が若いワキ方の披キを見守ります。
    ワキの活躍する能です。
    曲名の張良をワキが演じ、彼に兵法を相伝した黄石公をシテが演じます。
    ワキの立ち舞う部分が多く、中にも「反り返り」で荒波にもまれる様を舞い現すなど、
    ワキの習い曲(重要な曲)となります。
    また、石公が張良への試練として沓を蹴捨てる際には
    背後に控える後見が眼光鋭く目付けに投げ捨てるという独特な演出も楽しめます。
    稀に勢い余って舞台下に落ちてしまうこともある緊張の場面です。
    その際の対処は口伝として伝えられています。

    「三輪」
    人間国宝「宝生閑師」の空間創りを堪能出来る一曲です。
    観世流宗家相伝の小書「誓納」に対し、京都・片山家の演出小書「白式神神楽」。
    通常の三輪に登場する後シテは祝子に憑依した三輪明神ですが
    小書によってシテは明神本体に替わります。
    役者が神を演じるという禁忌に触れる小書となり、とても丁重に扱われている作品です。
    天照大神の「天岩屋戸」の物語を緩急抑揚豊かに表現され、より華やかな演出を楽しめます。

    「安達原」
    豪華キャストの一日に「松山」を加えて頂きました。
    『拾遺和歌集』雑下、「みちのくの安達原の黒塚に鬼こもれりと聞くはまことか」(平兼盛)
    卑賤の老女が修験の僧に宿をもてなし、生業としての糸紡ぎをみせます。
    やがて秋の夜寒に暖をとる為、薪をとりに山に出かける老女。
    その間に老女の正体を知り逃げ出す僧達を老女は鬼女となり一行に襲い掛かる。

    「葵上・道成寺・安達原」は「般若面」の使用曲、それぞれ白赤黒と区別されます。

    小書「長糸之伝」によって、より誇張される枠枷輪の写実表現、
    都の優美な情景描写、シテと地謡の掛け合う謡は都の賑わいと陸奥の孤独感までも感じさせます。
    小書「急進之出」では留守中の約束を破った僧一行へ強烈に迫りかかる鬼女を現します。
    小書「黒頭」では通常の鬘姿を頭姿(チラシ写真)に変わり気魄溢れる様が強調されます。
    多数の小書によって様々な対比を駆使した能らしい演出が楽しめます。

    とても充実した一日です。是非ともご高覧賜りたく、ご案内申し上げます。
    ご多忙の事とは存じますが、皆様のご来場を心よりお待ち申し上げます。

    正面席 10,000円(全指定)
    自由席 8,000円
    学生席 4,000円

     


  • ほのぼ能「藤戸」 2014/6/29 13:00

    <4D6963726F736F667420576F7264202D2082D982CC82DA945C81408AC888D58<4D6963726F736F667420576F7264202D2082D982CC82DA945C81408AC888D58

    さて本年の「ほのぼ能」は新緑の萌える初夏に予定しております。

     平成26年 6月29日(日) 午後一時開演 午後四時頃終演予定

    緑翔会 能ノ会 ほのぼ能「 藤 戸 」 

    昨年同様に梅若六郎玄祥師(芸術院会員・)、山本東次郎師(人間国宝)にご出演を賜り

    さらに本年は宝生閑師(人間国宝)もご出演を賜りまして一日をご堪能頂きます。

     本年の能は「 藤 戸 」 を御覧頂きます。
     平家物語の「藤戸合戦」を典拠とする古典の代表作の一つです。
     戦の折、浅瀬の存在を浦の若者から聞きつけた佐々木盛綱(ワキ)は、浅瀬の秘密を隠す為に若者を殺め、合戦で功をあげ、その後、恩賞に児島を拝領し入部します。その盛綱の元に先の若者の母親が訴訟に訪れ、盛綱は当時の有様を物語り、若者を弔います。
     前シテは子を失った母親。舞としての所作はなく、内面を如何に満たし表すかを求められます。
    後シテは殺められた若者。能の多彩な所作での表現にて凄惨な趣を包み込む繊細な役です。
     物語を読むと、戦禍での民間人の落命から「反戦」を連想させる能として受け止められますが演出面には、盛綱自身による当時の様子の独白と、その後に弔いをさせる構成となっており、いわば「冥福を祈る」ことに重きを据えた「救い」の一曲です。
     また、狂言・仕舞も充実した一日です。是非ともご高覧賜りたく、ご案内申し上げます。
    ご多忙の事とは存じますが、皆様のご来場を心よりお待ち申し上げます。
     時節柄、ご自愛くださいませ。                       敬具

      平成二十六年 五月吉日        緑翔会 能ノ会

     

     


  • 梅若会定式能 「千手」

    20140420001

     

    平成二十六年 四月 二十日(日) 午後一時開演
    梅若会 定式能 「千手」「須磨源氏」他  於・梅若能楽学院会館(東中野)

    「定式能」は梅若会一門の日々の研鑽を示す事に重きを置いた定例の演能会です。
    来る4月公演にて「千手」を松山が務めます。

    地頭は梅若玄祥先生がお勤めになられます。

    「 千 手 」
    一ノ谷の合戦で捕虜となった平重衡は鎌倉の拘留されます。
    以前の栄華を懐かしみ現在の境遇を嘆く重衡。
    千手の前は源頼朝の命により彼を訪ね、酒宴にて慰めます。
    やがて夜が明け重衡は南都へと出で立ち、千手は今生の別れを悲しみます。

    小書「 エイギョク 之舞」では演出構成が大きく変化します。
    幾通りか上演方法がありますが、今回は重衡の歎きの直後に千手が館に訪れます。
    通常では千手が館に訪れるまで心境を表す謡がありますが省略されます。
    物語の中心に重衡を強く据え置く狙いでしょう。また、出家を望むくだりも省略され、
    これらの変わりに酒宴にて千手と共に重衡も舞う「相舞」が挿入されます。
    重衡は舞いを中座し千手は独り舞い続けます。曲の最後での離別の場面と共に、
    千手との濃密な相愛が現れる倒置の演出。別れこそ丁寧にありたいと思います。

    図らずも、史実には四月二十日に千手が館を訪れたと残ります。
    皆様もご一緒に重衡を訪ねてみませんか?

    お気軽にお問い合わせください。

    お問い合わせよりお申し込み頂きますと、前売り扱いにて
    チラシ掲載料金から千円引き にてご提供させて頂きます。

    ※ 2014.4.16 12:00 のお申し込みまで

    指定席(正面のみ) 7千円 ((( 通常八千円 )))
    自由席(指定以外) 6千円 ((( 通常七千円 )))

    学生席は通常の 3千円です。

    20140420002


  • TV放送のご案内

    top_image

    「TV放送」 のご案内をさせて頂きます。

    平成26年3月15日(土)14:00~17:00
    NHK Eテレ「祭りの響き ~第14回地域伝統芸能まつり」

    番組の中で、半能「船弁慶」片山九郎衛門・片山清愛 他 が放送されます。

    他の中には、地謡の私も含まれています。

    能「船弁慶」は
    兄頼朝に追われる不遇に見舞われた義経一行の物語。
    本来は二場面の構成で、静御前との離別(前)・平家一門の怨霊の襲来(後)です。
    今回は短縮上演の後半場面のみです。

    船での都落ちを現わす際には、
    船頭の狂言方が走って船を履いて舞台に運び込みます・・・

    「見るべき程の事は見つ」
    思いを残さず西海に沈んだハズの平知盛は未練たらたらに・・・
    義経一行を道連れすべく怨霊となって現れます。

    子方が演ずる義経に知盛は長刀をもって、大人気ない・・・

    「みどころ」の多い一曲です。

    催しは 先日の22日にNHKホールにて、
    日本の諸地域に伝承される芸能を集めた公演された
    「地域伝統芸能まつり」の特集編です。
    http://www.jafra.or.jp/matsuri/

    ・・・うらばなし・・・
    朝9時に舞台屋さんの為のリハーサルが行われました。

    終了後に、シテ(お父さん)から子方(ご子息)への
    舞台上での処かまわずの叱咤激励満載の稽古がありました。

    もしかして誰もが本編よりも見てみたくなる場面でした。

    打てば響く、子供の育て方。

    どうぞお見逃しなく!


  • 梅若会初会のご案内

    2014 梅若会初会

    平成26年1月11日(土)13時始

    梅若会初会の演目は「翁付邯鄲」「胡蝶」となります。

    玄祥師の能「邯鄲」では夢中ノ童を長女・絢美が務めさせて頂きます。

    翁は「能にして能に非ず」と別格に扱われ五番立ての零番に当てられ
    地謡を含む20名程の全ての演者が揚幕より厳かに粛々と歩みを進めます。
    農耕豊作・国土安穏と祈祷を主におき、演じる事を極力控える「翁」。
    年の始めに相応しい一曲です。

    その翁に続けて能が上演される「翁付」の演出。

    今回の「邯鄲」では唐土の邯鄲ノ枕の故事を御覧頂きます。
    若者・盧生が世に広く聞く「邯鄲の枕」を求め旅に出ます。
    やがて邯鄲に着いた盧生は、宿で枕を敷いて一睡に就きます。

    盧生は夢の中で自身が栄華を極めるという「夢」を見ます。

    広大な国土・群れいる人々・不老長寿・・・

    能ではこの繁栄の一場をあえて謡で象徴してしまいます。
    それは、夢の醒める時に舞台の躍動を集約する為の演出です。

    詳しい内容はこちらをご参考に↓↓↓
    http://www.the-noh.com/jp/plays/data/program_059.html

    続いて上演される能「胡蝶」は百花の第一とされる「梅」に縁遠い「蝶」の儚さが沁みわたる一曲です。

    主題となる蝶は「胡」の蝶です。
    古への日の本の民族は唐土へ強い憧れを持っていました。
    多くの文化意識が唐土には溢れていた時分、
    花や虫に至るまで、唐土の感性が日本へと伝えられたのです。

    通常演出ではシテは中入をして装い新たに蝶の精の後シテとなって登場しますが
    物着の小書は、中入りをしない前後場面の連続性を強めた演出となります。

    詳しい内容はこちらをご参考に↓↓↓
    http://www.the-noh.com/jp/plays/data/program_062.html

    ご多忙の事とは存じますが、皆様のご来場を心よりお待ち申し上げます。

    ~梅若会 初会~ 新春公演
    平成26年 1月11日(土)   13時開演 17時終了予定
    於・梅若能楽学院会館
    東京都中野区東中野2-6-14

    当日内容
    能「翁」 梅若長左衛門
    翁付「邯鄲」梅若玄祥 松山絢美(長女・6歳)
    能「胡蝶 物着」角当行雄

    (松山隆之は二番の地謡)

    その他、お気軽にお問い合わせ下さい。  緑翔会 能ノ会


  • 半蔀の独り言

    半蔀では「夕顔を取り巻く源氏物語」に集約した解り難い能です・・・
    この曲は源氏物語の夕顔の君をシテとし
    前場は紫式部縁の紫野の住職
    白き花の己一人笑みの眉
    たそかれ時
    名乗らず
    などから「夕顔の君」を連想させます。
    後半は五条に舞台を移します。
    ありし教え以降からは
    宿の佇まいを
    孔子の弟子達の佇まいに喩えつつ
    夕顔の知性の高さを匂わせます。
    クセではシテが源氏を演じることで
    夕顔自身は霊となっても名乗る事の無い
    儚い女性として伝え続けています。
    後半場面では終始舞台に佇む作り物との異空間が
    どの様に映ることでしょうか?
    是非、楽しい感想をお待ちしています!